エネルギー源:再生可能エネルギー、化石燃料、その他
エネルギー源とは
発電所はエネルギーを作り出すのではなく、さまざまな形で得られるエネルギーを電気に変換します。発電システムは、簡単に言えばエネルギー変換機です。燃料を燃やす発電所では、燃料に含まれる原子や分子の間に存在する化学結合の形で蓄えられているエネルギーを変換します。また、環境中に存在するエネルギーを回収し、電気に変換するタイプの発電所もあります。
エネルギー保存の法則という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、エネルギーは決して創造も破壊もされないというものです。その代わり、エネルギーはある形態から別の形態へと変化されます。例えば、窓辺に置かれている植木鉢があるとすると、誰かがその植木鉢をそこへ運んできたのです。その人は自分の体に蓄えられている化学エネルギーを使って植木鉢を持ち上げます。高くなった植木鉢には位置エネルギーがあります。その後、植木鉢は落下し、落下中に速度と勢いを得て、運動エネルギーとなります。植木鉢が地面に衝突して破壊すると、その運動エネルギーは瞬時に周囲の空気中に熱として放出されます。これは、化学エネルギーが、位置エネルギー、運動エネルギー、熱へとエネルギーが変換される例です。もちろん、落下した植木鉢は大した熱を発しません。
しかし、例えば隕石が地球に落ちてきたときのことを考えてみましょう。隕石が大気中で燃え尽きるときに、その運動エネルギーと位置エネルギーが熱に変換されるというプロセスは同じです。恐竜を滅ぼした小惑星は、落下する植木鉢よりも強い熱を放出したことは間違いありません。
エネルギーの種類
- 化学エネルギーは、化学物質の分子間の結合から生じます。この結合が切れると、エネルギーは熱という形で放出されます。燃える物質には、ある程度の化学エネルギーが含まれていますが、化学エネルギーを放出する方法は、燃焼だけではありません。例えば、電池にも化学エネルギーが含まれています。電池の端子を負荷に接続すると、蓄えていた化学エネルギーを電気として放出します。
- 運動エネルギーは、物質の移動に伴うエネルギーのことです。重ければ重いほど、速度が大きければ大きいほど、運動エネルギーは大きくなります。空気が動いているとき(つまり風が吹いているとき)、空気は運動エネルギーを持っています。
- 電気エネルギーは、電流と電圧の組み合わせによって送電線内で運ばれます。
- 光のエネルギーは、電磁波によって運ばれます。電波、マイクロ波、X線、可視光線はすべて電磁波です。水の入ったコップを電子レンジで加熱すると、電磁波によって水にエネルギーが伝わります。太陽が熱く感じるのは、皮膚が太陽からの光エネルギーを受けているからです。
- 核エネルギーは、原子の核分裂によって放出されます。原子の核は非常に強い力で結合されています。その結合を切ると、熱や放射線の形で大量のエネルギーが放出されます。
- 熱エネルギー、または熱は、単に熱いものに関連するエネルギーです。エンジニアの間ではエンタルピーという言葉もありますが、これは熱に、圧力のかかった流体に関連するエネルギーを加えた尺度です。
- 重力による位置エネルギーとは、落下可能なもののエネルギーのことです。高くて重い物体ほど、落ちたときに放出されるエネルギーは大きくなります。
- 弾性(ひずみ)位置エネルギーとは、弾性体に力を加えたときに、その弾性体に蓄えられるエネルギーのことです。この力によって、弾性体は変形し、物体の中にエネルギーが蓄えられます。
- 音響エネルギーは、波のエネルギーの一種であり、それ自体が運動エネルギーの一種です。音波は、空気中で少量のエネルギーを運びます。水中でも、波はエネルギーを運びます。海では、波が運ぶエネルギーの量はかなり大きいです。

化石燃料と、化石燃料から得られるエネルギーについて
話を発電所に戻します。多くの発電所では、燃料を燃やして発電しています。石炭や天然ガス、石油由来の燃料などの燃料は、化石燃料と呼ばれています。
化石燃料は、埋もれていた生物の死骸が非常に長い時間をかけて分解されたものです。これらの生物はすべて、何百万年も前に光合成と呼ばれるプロセスによって(あるいは光合成が可能な他の生物を食べて)体を成長させました。光合成とは、植物や藻類、ある種のバクテリアが、太陽からの光エネルギーと環境中の二酸化炭素を炭水化物分子に変換する生物学的プロセスです。つまり、ある意味では、石炭火力発電所で発電された電気は、最終的には太陽から来ていると言えるのです。しかしながら、石炭発電所で、太陽光のような再生可能な電気を発電するわけではありません。死んだ動植物が石炭になるまでには何百万年もの時間がかかるため、人の時間の尺度では有用な量の石炭は形成されません。石炭を採掘し尽くし、石油を汲み上げ尽くせば、枯渇してしまうために、化石燃料は再生不可能なのです。
石炭は、20世紀のほとんどの地域で発電所の主要なエネルギー源でした。現在も多くの国で発電所の燃料として使用されています。また、天然ガスもよく使われるエネルギー源の1つであり、アメリカでは発電用燃料の第1位になっています。天然ガスは安価でクリーンであり、ガスタービン発電所には最適です。ナフサ、ディーゼル、重油などの液体燃料も、発電用燃料として重要な役割を果たします。これらの燃料は広く入手可能で、輸送や保管が容易なため、他の発電所が利用できないときに稼働する非常用電力として最適です。
再生可能なバイオ燃料によるエネルギー:CO2ニュートラルなエネルギー
発電所で燃やす燃料は、すべてが化石燃料というわけではありません。適切な燃焼システムがあれば、燃えるものならほとんど何でも発電に利用できます。多くの発電所では、木片、トウモロコシの皮、サトウキビの繊維、さらには家庭ごみなどの燃料を使っています。例えば、製紙工場の中には、製紙工程で発生する木材由来の副産物である黒液を燃料とする小規模な発電所があります。このように、収穫に成約のない植物を原料とした燃料は、再生可能な燃料と考えられています。
化石燃料とほとんど変わらない再生可能な燃料を作ることも可能です。例えば、大豆、トウモロコシ、ビートなどの作物から、エタノールやバイオディーゼルを作ることができます。多くのディーゼルエンジンは、何も手を加えなくてもバイオディーゼルで動作します。エタノールはそのままでも燃焼させることができますが、ガソリンと混ぜると多くの自動車の燃料として使用することもできます。米国で販売されているガソリンの98%には、10%のエタノールが含まれていることをご存知でしたか?
ここ数年、バイオ燃料の処理技術には多くの革新が見られます。バイオ燃料が注目されている理由の一つに、CO2フリーで燃焼すると言われていることが挙げられます。これは少し誤解があるようです。木材チップが燃えると、CO2が大気中に放出されます。それを否定する人はいません。しかし、その木材チップは木から採取されたものであり、その木が成長するときに同じ量のCO2を取り込んでいます。その結果、大気中のCO2の純増加はなく、CO2ニュートラルという方が正確です。
バイオ燃料を使うと、化石燃料を使った場合と同じように発電所を安定稼働でき、二酸化炭素は排出されません。一方、化石燃料が燃えるときに排出されるCO2は、何百万年も前に取り込まれたものです。1億年単位の時間の尺度では、化石燃料の燃焼もCO2ニュートラルですが、人間の時間の尺度では、化石燃料を燃焼させることで大気中のCO2が純増するのです。
太陽と風によるエネルギー:クリーンエネルギー
太陽光発電(PV)パネルと風力タービンは、世界で最も急速に成長している発電技術です。また、水力発電所と並んで、再生可能エネルギーの主要な供給源でもあります。どちらも発電には燃料を必要としません。だからといって、何もないところからエネルギーを生み出すというわけではありません。ソーラーパネルは太陽光の電磁エネルギーを抽出し、風車は風の運動エネルギーを利用します。どちらも、燃料の心配がなく、排気ガスも出さない、優れた発電方法です。しかも、ソーラーパネルや風力タービンは、年々、安価で簡単に設置できるようになっています。
太陽や風は尽きることがありませんが、常に風があるわけでも、常に太陽が出ているわけでもないのが難点です。太陽が出なければ、太陽光発電はできず、風が吹かなければ風力発電もできません。大量の風力や太陽熱による電力が電力網に存在する場合、太陽光や風力の発電ができないときにそれを補うことができる非常用電力の発電所を用意しておくことが重要になります。例えば、カリフォルニア州の電力系統には太陽光発電が多く含まれているため、太陽光発電ができない夜間の電力を補うために、多くの火力発電所を夕方に起動する必要があります。
原子力発電所のエネルギー:原子からのエネルギー
原子力発電所は、別の性質を持つエネルギー源からエネルギーを得ています。
核燃料であるウランは、大きな化学エネルギーを蓄えておらず、石炭や天然ガスのように燃えることはありません。その代わりに、ウランの原子は核分裂によって分解されます。通常の可燃性燃料が燃えると、燃料の分子を結んでいる化学結合が切れてエネルギーが放出されます。ウランの核分裂では、ウラン原子核を結びつけている核結合が壊れてエネルギーを放出します。核結合は化学結合よりも何倍も強いので、少量のウランでも大きなエネルギーを放出することができるのです。
原子力発電所の燃料となる元素は、ウランだけではないことをご存知でしょうか。自然界に存在する元素で、原子力エネルギーの原料となりうるものにトリウムがあります。トリウムは一般的にウランよりも豊富で、インドのように国内にウラン資源を持たない国では、トリウムを使った燃料サイクルの開発に関心を示しています。